『たまこまーけっと』編(その4)

その3はこちら。鞍馬で自然の空気を浴びた俺は、再び叡電に身を預けた。
出町柳に戻り、京阪に乗り換えて向かったのは藤森(ふじのもり)駅。『いなり、こんこん、恋いろは。』でおなじみの伏見稲荷駅の二つ隣にあり、すぐ上を名神高速が走る。改札口を出ると、巡礼から学生時代の遠足に至るまで、何度か目にしたことのある琵琶湖疏水が流れている。
疏水の沿岸はテレビシリーズはもちろん、劇場版でも終盤でたまこが全力疾走するシーンで使われていて、とても印象に残っているのよね。ここから彼女は京阪に乗り、京都駅へと急ぐのである―。
沿岸から一本東側の通りに入ると、たまこ達が通う高校のモデルとなった聖母学院がある。正門が面する通りは閑静な住宅街にして商店街になっているけど、突如として華麗な門が現れるから、軽く驚いちゃう。この風景を日常的に見られる女子達には、さぞ憧れの学校だろうなぁ…
ぼちぼち日も暮れてきたところで、そのまま京阪で淀屋橋方面へと向かい、帰路につくことにした。やはり『いなり』と縁のある墨染駅を経て、丹波橋駅で久々となる特急に乗り換えた。前回乗車時よりもグレードアップした新型車で、乗客が多く入れ替わった枚方市駅でようやく着席。泊まりがけの旅行でお世話になる、新幹線や特急に乗っている時のような贅沢な気分を味わえた。京阪沿線の住民が、さぞうらやましい…
淀屋橋駅まで乗り通しても良かったけど、混雑回避のために二つ手前の天満橋駅で下車。谷町線経由で大阪・梅田、そして地元の駅から自宅へ。日帰りながらもなかなか充実した巡礼は、こうして無事に幕を下ろすのだったとさ―。